はじめに |
専用モデムでRTTYを運用していると受信はモデム経由で,送信はパソコンから直接行いたくなります.多くのモデムは,パソコンとの通信を一般的な8ビットASCII符号で行うことが多いようです.
これは一見便利なのですが,モデム側でディドル(送信すべき文字の無いときに
"NULL" コードを送信すること)の機能を持っていない場合(ST-8000など)はパソコン側のソフトウェアで対応しなければなりません.TELNETを主な用途としたパソコン用ターミナルソフトに,ディドル機能などは到底期待できません.もし対応していたとしても,パソコン側から45.5ボー以下で文字を送り出さない限り,意図しない数のディドルがモデムに送り込まれ,バッファーがオーバーフローしてしまうか,実際のトランザクションがディドルの待ち行列に埋もれてしまう結果になります.したがってディドルを使いたい場合には,パソコン側から45.5ボーで文字を送出せざるを得ません.
ところが5ビットはおろか,8ビットでさえ45.5ボーの符号を扱えるパソコン用ターミナル・ソフトを見かけることが少なくなりました.MS-DOSの全盛期にはたくさん流通していたのでしょうが,サウンドカードを利用したRTTYが主流になった昨今,これらのソフトウェアの多くは姿を消してしまったようです.
そこで以下の目標を掲げてソフトウェアの製作に取り組みました.Windowsネイティブなソフトウェアがベストなのですが,あいにく開発技術がMS-DOS時代でフリーズしているので,Borland
Cを使ってコーディングしました.
1.ディドル機能を備えること
2.45.5/50/56/75ボーに対応すること
3.マクロ送信が行えること
4.AFSKを送信できること
今時DOSプログラムではお話になりませんが,WindowsでもDOS窓を開ければなんとか実行可能です.ただしこの場合,AFSKの信号はメチャクチャになってしまいます.Windows側の割込により,各ビットの長さが変化してしまうためです.またWindows上で動かすときにはショートカット(BAUDTERM.PIF)のプロパティで,「その他」のタブにある「他のプログラムの優先度」を「中以下」に設定してください.BAUDTERMがインアクティブになった際に,停止状態になるのを防止できます.(WindowsMEではNGでしたが,Windows95/98ではAFSKも問題なく動作します.またWindowsNT/2000/XPでは,送信バッファ仕様の違いによりディドルをオンにするとオーバーフローを起こしてしまいます.)
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使わなくなった古いノートPCに,MS-DOSかMS-DOSと互換のあるDR-DOS(フリーウェア)をインストールしてBAOUDTERMと組み合わせれば,RTTY専用コンソールに大変身しますよ! (^^; |
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本プログラムを正しく作動させるには「DOS/V」などの日本語環境が必要です. |
さて,出来上がったソフトウェア(ヘルプ画面)はこんな外観です.
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起動方法 |
通常のソフトウェアと同様に,コマンドプロンプトからBAUDTERM と入力します.またBAUDTERM[SPACE]
に続けて機能設定ファイルを指定することができます.機能設定ファイルを指定しない場合には,"BAUDTERM.CFG"
を探して読み込みます.「MYCONFIG」の部分は任意のファイル名を指定することができます.
例 C>BAUDTERM MYCONFIG.CFG |
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設定ファイルの構成
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ファイルは ”キーワード:設定値”で構成されます.それぞれの間にはスペースなどの余計な文字を入れないように注意してください.任意に変更できるのはコロンの後の
”設定値” の部分だけです.
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設定例 |
設定内容 |
有効設定値 |
FUNC:COMM |
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送信モードの設定 |
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COMM/AFSK |
SHIFT:170 |
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AFSKシフト幅の設定 |
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170/425/850 |
SPEED:45 |
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ボーレートの設定 |
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45/50/56/75 |
UOS:ON |
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UOSの設定 |
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ON/OFF |
DIDDLE:ON |
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ディドルの設定 |
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ON/OFF |
ADC:OFF |
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自動ディドル停止機能の設定 |
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ON/OFF |
ADP:15 |
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自動ディドル停止機能の設定 |
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5/10/15/20 |
KOS:OFF |
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KOSの設定 |
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ON/OFF |
ACR:ON |
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自動改行機能の設定 |
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ON/OFF |
ACP:65 |
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自動改行水平位置の設定 |
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45/50/55/60/65 |
CALL:JK1VXE |
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自局名の設定 |
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半角26文字まで |
NAME:TADDY |
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ハンドルの設定 |
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半角26文字まで |
QTH:ZAMA |
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QTHの設定 |
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半角26文字まで |
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PORT:1 |
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COMポート番号の設定 |
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1~6の範囲 |
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終了方法 |
受信状態で [ESC]キー を押します.画面の最下段にメッセージが表示されるので,終了する場合は
Y を入力します. |
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gい方 |
ファンクション・キー9番[F9] を押してヘルプ画面をご覧ください. |
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マクロ・ファイル |
BAUDTERMと同じディレクトリ(カレント・ディレクトリ)に,RTTY?.TXT(?は0~9の半角数字が入ります)を置きます.送信状態のときにキーボードの
ALT+[数字キー] を押すと,数字に対応した?部分を持ったファイルの内容が送信されます.またキーボードから
CTRL+F を押して,画面上で選択することもできます. |
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予約文字列 |
マクロ・ファイル中の次のキーワード(すべて半角文字)は特殊な機能を持ちます.送信中にこれらのキーワードを見つけると,それぞれ次の表で示された内容に置き換えて送信されます. |
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キーワード |
機能 |
@ |
受信へ切換(PTT OFF) |
# |
送信へ切換(PTT ON) |
%C |
相手のコールサイン(CALLSIGN:ALT+Cで設定) |
%R |
相手のRST(RST:ALT+Rで設定) |
%N |
相手の名前(NAME:ALT+Nで設定) |
%Q |
相手のQTH(QTH:ALT+Qで設定) |
%M |
自分のコールサイン(MYCALL:ALT+Mで設定) |
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%H |
自分の名前(HANDLE) |
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%L |
自分のQTH(LOCATION) |
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%T |
現在時間の送信(TIME) |
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マクロ・ファイルの例 |
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#
%C %C DE %M
THANKS FOR THE NICE REPORT FROM %Q, DEAR %N SAN. YOUR
REPORT IS %R-%R. MY NAME IS %H %H AND MY QTH IS %L %L.
HOW DID YOU PRINT THERE? BACK TO YOU, DEAR %N SAN.
%C DE %M PLEASE KN
@ |
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モデムやトランシーバとの接続方法 |
使用しているRS-232C信号線は GND(1 or 5番),TDX(2番),RXD(3番),DTR(20番)です.このうちDTRはPTTの制御用に使っています.TXD/DTRとトランシーバの接続は,別途フォトカプラやトランジスタを使ってスイッチング動作するよう工夫してください.トランシーバのFSKキー極性(オープン/クローズのどちらでスペースが出るか)は各社まちまちなので,フォトカプラで受けた方が対応が簡単だと思います.RS-232CのTXDは±に振れているので,フォトカプラの投光側の接続極性を適宜選択することで,どちらの場合にも対応できます.回路例 |
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バージョン情報 |
Version 2.0.2 - 10/12/2001 交信相手の情報 ALT+C(Callsign), ALT+N(Name),
ALT+Q(QTH), ALT+R(RST)をプリロードする際に,マウスを利用できるようになりました.ALT+C/N/Q/Rを押すと画面最下段に従来通りキーボードから情報を入力するためのカーソルが表示されます.同時にマウスポインタも表示されるので,受信画面に表示されている情報の先頭文字を左クリックすると,次の空白までの文字列が自動的にバッファに取り込まれます. |
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VERSION |
DATE |
更新内容 |
2.0.3 |
10/12/2001 |
ファイルによる機能設定が可能になりました.マクロ予約文字列を追加しました.「F10」で表示される設定メニューに,自動改行関連の項目を追加しました. |
2.0.6 |
10/22/2001 |
送受信文字のキャプチャリングが可能になりました.キャプチャ制御はファンクション・キー「F8」で行います.ファイルはカレント・ディレクトリにYYMMDDNN.LOG
(NNの部分が00~99まで自動的に変化します)の形式で自動的に作られます.キャプチャ中は画面右下のシフト・ステータスが緑色で表示されます. |
2.0.7 |
02/08/2002 |
COMポート(RS-232C)番号を指定できるようにしました.CFGファイルで設定する場合には,PORT:N
(Nの部分を1~6の範囲で指定します)で設定してください.「F10」で表示される設定メニューでも同様に設定を行うことができます. |
2.1.0 |
02/20/2002 |
COMポート(RS-232C)番号設定機能が一部正しく動作しない不具合の修正を行いました. |
2.1.3 |
07/16/2002 |
LETTERとFIGUREを送出するシーケンスを改良しました.以前のバージョンよりもLETTERとFIGUREの送出機会が少なくなり,より効率的にオペレーションできるようになりました. |
2.1.4 |
02/22/2003 |
COMポートを使ったモードで,送信中にボーレートを切り替えると受信状態に戻ってしまう不具合を修正しました. |
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お願い |
このソフトウェアは考えられる範囲内でのデバッグやウィルスの除去を行っておりますが,作者の予期しない瑕疵が存在するかも知れません.したがって,このソフトウェアは利用者の責任において使用するものとします.このことを理解いただいた上でお使いください. |
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ダウンロード |
BAUDTERM (LHA圧縮:36KB)はここから |
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できます. |
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