TONO Θ-777

東野電気株式会社のモデム「Θ777」です.東野からは数々のモデムが発表されましたが,この機種は比較的に後期に発売されたものです.添付されたマニュアルには操作方法はもちろん,ターミナルとの接続方法や各モードの特徴が図解入りで大変丁寧に説明されています.

デモジュレータ部には一般的なアクティブフィルタ型が採用されており,CPUによりRTTY(BAUDOT/ASCII),CW(欧文/和文),AMTOR(ARQ/FEC/MODE-L),SEL-FEC,BIT-INVERSIONなどのモードに対応しています.

復調性能は廉価版デモジュレータとして一般的なレベルですが,AMTOR(アムター)専用と割り切ってしまえば特に気になることはありません.

このモデムの一番の特徴は,当時流行した「AMTOR」に対応していることでしょう.AMTORは今でも船舶通信などで利用されているモードです.RTTYなどの「送りっ放し」とは異なり,相手から確認のアクノリッジメント(ACK/NAK)を受け取ることで完全な「クローズ・ループ」を形成しています.

メッセージは一定のブロック(パケット)に分割して送信されます.通常相手では受信したパケットを評価し,正しく受け取れなかった場合には送信元にノット・アクノリッジメント(NAK)を送信し,パケットの再送を促します.

送信と受信を一定の間隔で繰り返すため通信効率は良くありませんが,品質の高い通信を行うことが可能です.ただしAGCの立ち上がりが遅い受信機では,アクノリッジメントを受け損なって再送が多発するため通信効率がガクンと落ちてしまいます.

TTL ロッジクレベルの信号入力端子で,外部デモジュレータなどはここに接続します.
AF 通常の600Ωの受信信号入力端子です.
PHONE ヘッドフォンなどを接続する端子です.
GAIN AFSK信号の出力レベル調整用ポッドです.
AFSK AFSK信号出力端子です.

NEG 極性が+接地型のキーイング出力端子です.
POSI 通常の−接地型のキーイング出力端子です.
PTT トランシバのPTT端子に接続します.
REMOTE テープレコーダのリモートコントロール端子など,外部装置の制御用端子です.
RS232C パソコンやプリンタなどのターミナルに接続してメッセージを表示させます.

基板の上半分がCPUを中心とした制御部で,下半分がアクティブフィルタ型デモジュレータ部です.

左の画像をクリックするとPDF版の「ブロックダイアグラム」をご覧いただけます.